「一色大悟先生は仏教学の研究者です」
そう聞くと、お名前から実家がお寺だったのではないかと思う人もいるかもしれません。
けれども、そうではありません。
むしろ研究の入り口は、仏教よりも妖怪だったそうです。
幼い頃に『ゲゲゲの鬼太郎』が好きになり、その延長で中学生になると荒俣宏、高校生になると澁澤龍彦の本を読むようになりました。世界の不思議や、人が積み上げてきた知の世界に強く惹かれていたのです。
大学に入った当初は、西洋美術史や西洋思想を研究したいと考えていました。
ところが哲学を学ぶ中で、自分にはキリスト教的な世界観がどうもしっくりこないことに気づきます。そこで別の道を探した結果、たどり着いたのが仏教思想でした。
現在は、古代インドのサンスクリット語、チベット語訳の仏典、漢文などを用いて、仏教思想を研究しています。
しかし関心は、仏典の内容そのものだけではありません。
インドで生まれた思想が、どのように東アジアへ伝わったのか。伝わる過程で何が受け継がれ、何が変化したのか。そして近代社会のなかで、仏教が新しい思想や学問とどのような関係を結んだのか。
そうした「思想の移動」と「知識の継承」に強い関心を持っています。
一色先生は、
仏教が伝わっていく過程で何が伝わったのかを研究することは、究極的には仏教そのものの研究である
と考えています。
その関心は学術史にも向かっています。
学問は突然生まれるものではありません。誰かが学び、教え、受け継ぐことで発展していきます。大学という場所もまた、その長い歴史の一部です。
だから一色先生は、思想だけでなく、「学問そのものがどのようにつくられてきたのか」も研究対象としています。
ご自身を一言で表すなら、
「自分の関心でしか研究できない、自立自存の研究者」
とのこと。
妖怪の本に夢中だった少年は、いま、千年以上にわたる思想と学問の旅路を追いかけています。
もっと知りたい方へ:この研究者についてさらに詳しく知りたい方は、研究業績や経歴をまとめた researchmap もご覧ください。
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